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2号機漏洩は

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 ここまでずっと循環ポンプ以上にということが事実ならメカニカルシールが破損・消耗によって水が漏れてる可能性はあります。となると、まだ圧力容器の底には明確には溶けて穴が開いておらず、封じ込め機能は完全には失われてはいないという可能性もまだあるということです(ただ余熱で蒸発したりもしますが、いつまで経っても増えていないのであれば漏れはどこかにあります)。

 
 基本的にポンプ絡みの水漏れの事故のはほとんどが軸シール(メカニカルシール)の破損やそこの消耗などから来てしまうもので、メカニカルシールには微量な液漏れや損傷などはつきまといますが、日本の1次にはこれが使われています(ちなみにヨーロッパなどでは漏れの面では耐久性にも優れているキャンドポンプが使われています。これまでは日本製がいいというよりもお前のところからも買ってやるからなというようなニュアンスでしたが)。


 日本は長らく業界の広い意味でのなあなあ意識があり、ほとんど日本製のものなどを使用したりしてきました。そのためできうる能力も限られたものであり、例えば強化された水中ポンプなども使われてはきませんでした(使われてこなかったということもあり)。
 
 
 初めて海外のものを最初調達したのが2010年2月。東京電力がカナダ原子力公社(AECL)から調達したもの。沸騰水型軽水炉のPLRポンプで使うメカニカルシール(そこのものは数年使用可能とされてきました)。福島第一原子力発電所4号機のPLRポンプ2系統のうち、これを1系統に導入していました(それまでは国内もの)。

 ちなみに「メカニカルシール」というのは、軸とポンプケーシングの隙間などからの水漏れを抑止するものです。

  
 本来は二段のどちらか維持できなくともしたとしても、安全面・ポンプ性能面では大丈夫とされていますが、日本ではプラントを停止して交換を行ってきました。


  PLRポンプのメカニカルシールは非常に消耗品で、消耗すれば機能も低下します。そのためにしゅっちゅう交換されてきましたが、なあなあ意識もあり、これだけ消耗度も激しいものであったにもかかわらず、抜本的な再発防止対策はこれまで採用されてきませんでした。
 
 
 原子炉で使われるものはだいたい数百万円くらいもののですが、これを交換するためにまるまるプラントを停めます。そうするとそれだけでだいたい数億円の損失が出ます。それを頻繁にしながら改善されてこなかったのです。
 
 
 PLRポンプメカニカルシール(これを使っていたのならーただしこれは復旧できていないことを考えれば仮設ポンプそのものの問題かもしれませんが)の磨耗性も今回疑われます。大きな事故にはつながらないと思われてきましたが、何度入れても水位がポンプ以上にずっと上がらないのが本当に事実であればここから漏洩という可能性も低くはあります(損傷の有無は言ってこなかったので、仮設とはいえ、本体ではなくこちらの方に問題があることも考慮に入れる必要があります。もちろん、本体にも問題がなかったとは言い切れず、損傷している可能性も否定できませんが)。希望的観測を言えば。


 ここから見ても長い業界内のなあなあ意識は見えるのですが、日本にはほとんどこれと同じ形のものばかりなので、本当に全電源喪失という事態が長く続けばうまく水を供給できずにまた致命的に同じことが繰り返される恐れがあります。しかも今まで全電源喪失事態、全く本格的には考慮されてこなかった(その危険性は各方面から何度も言われてきたにもかかわらず、安心だとの一点張りで)、このことからも起こるべくして起こってしまったと言えなくもありません。もちろん、現政権のグダグダも看過できるものではありませんが、期間延長され、2011年3月26日までの延長にゴーを出していたのは自民党系列時代です(民主党が延長したのはこの後の10年からです)。当然、自民党にも責任はあり、民主党にも責任はあるのですが、今何たら言ってもあまり意味がありませんので(実際に距離感以降は3キロ~10キロ~20キロというような伸ばし案は自民党のそれを考慮に入れたものでもありますし)、ともかく事態の収拾が何よりも先です。長引けば長引くだけ経済にも影響します。
 
 
 世界でも屈指の地震大国であり、津波も頻繁に起こる国としては最も弱いとされるものがまず2つもあり、それも巨大なものが起こる可能性もある中で、あまりにももろすぎると言わざるをえません(コスト高になってしまえば割りに合わないと思っているのかもしれませんが、もともと原発は実際には割高です。単価5.9円になっていますが、始める当初はみな2桁です。基本的にずっと数十年使い続けることにしないと安くできていないのです)。もちろん、彼らがコストを嫌ってやってこなかった面もあるのですが(今回の東電もそうです)、原発は事故が起きてしまった場合の影響があまりにも大きすぎます。その度合いが広範囲なら土壌や水質も著しく,最も酷い部類だとダメージを受けて人も住めなくなってしまう死の土地になってしまうことなどは他のものでは考えにくいものです(今の値はまだ人は住めますが、それでも一定の条件付きです。また土壌などの入れ替えもしなくてはならない場合もあることを考えると、漏れてしまった後のリスク値は低くはありません)。
 
 
 もちろん、現時点で全て止めてやめるということは選択肢として難しい面はあります(膨大な放射性廃棄物の置き場所にも困りますし)。廃炉にするにも時間がかかりますし、廃炉にしても一定期間冷やし続けなければいけない事実は変わりません(冷やし続けなくてはいけないのは新型でも同じです)。仮に2年前に1号機を廃炉決定していたとしてもまだ燃料は入っていたでしょうし、2号機、3号機、4号機が事故を起こしていたことも変わりません(その間に抜本的な対策がなかったのなら)。
 
 
 ということは、新型にしても電源喪失が長く続いて冷却機能が完全に失われれば危機が長く続くのは変わりありません。数十時間しかないとなればそこは変わりません。仮に新型でも損傷が同じ度合いで起これば深刻化していた可能性もあるわけで、そこは今でも課題があります。新型は改良されていますが、新型だから大丈夫というわけではありません。
 
 
 本来、ここで見直していては遅いのですが、実際に日本の原子炉などで使われているメカニカルシールはかなりの消耗品ですし、これまで本格的には真剣に考えられてはきませんでしたが、この際にキャンドポンプにするということも検討課題です。
 
 
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